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2005.09.03

カトリーナ大惨事は人災?!

 JMM冷泉敦彦の今回のメルマガを読んで、アメリカの暗部という表現が、あながち間違っていないように思われた。ちょっと長いけど引用する。

 何よりも、当初の気象情報がいい加減でした。カタリーナが発生したのは、カリブ海のバハマ諸島でしたが、熱低(トロピカル・ストーム)の小さめなものだったので、気象情報では「一旦カテゴリ1のハリケーンとしてフロリダに上陸するが、陸上で勢力を弱めて熱低に戻るだろう」というような予報が何度も繰り返されたのです。

 この予報は間違いではありませんでした。カタリーナはカテゴリ1(最も弱い)としてフロリダに上陸、その後は熱低に戻ったというところまでは予報通りでした。ところが、熱低に戻った「カタリーナ」は、フロリダの西のメキシコ湾内で予想外の動きをしました。ゆっくりと湾内に止まりながら北上を開始するまでに、湾内の摂氏32度以上という海水温のエネルギーを受けてどんどん発達したのです。その間の報道は真剣ではありませんでした。

 意外だったのは、メキシコ湾の海水温がかなり緯度の高い、つまりアラバマからミシシッピ、ルイジアナの沿岸ぎりぎりのところまで摂氏32度以上のレベルに上昇していたということです。その結果、北上しても発達の勢いは止みませんでした。最終的に本土をうかがう時点では、中心の気圧が「904ヘクトパスカル」(実際の上陸時にはやや衰えて908ヘクトパスカル)という信じられない勢力に達していたのです。

 人災というのは、この「904ヘクトパスカル」という脅威についての徹底がされていないことでした。この時点では、「カテゴリ5(最大級)」だとして気象情報で何度も警報が出され、最大瞬間風速も時速160マイル(秒速71メートル)だということが強調されていました。ですが、報道は「いつものハリケーン情報」という雰囲気を出なかったのです。

 やがて、ニューオーリンズの町に関しては「全市民が強制避難」ということになりました。全域が海面下であって、その町を保護している堤防が「カテゴリ3」のハリケーンにしか耐えられないので、万が一の堤防決壊に備えてというのです。実際は「自家用車を保有している人」だけが大渋滞の中を北へ向かっただけで、その他の人々を移送するような避難体制は皆無でした。空港がさっさと閉鎖されてしまうと、観光客は取り残されましたし、動けない入院患者を抱える病院の避難はほとんど行われませんでした。

 ニューオーリンズは、昨年のハリケーン「イヴァン(カテゴリ4)」の際に全市避難を発動したことがあります。その際には、本来はカテゴリ5のハリケーンにも耐えられるような堤防と、防潮体制を作るべきなのだができていない、ということが議論されています。ですが、結果的にイヴァンはコースを外れて、全市避難(この時も本当に全員の避難がされたのではないと思います)は、言ってみればムダに終わりました。今回の全市避難には、昨年の事件による「狼少年」効果があったのかもしれません。

 また上陸当日の報道にも問題がありました。「カタリーナ」が上陸間際に若干勢力が弱まったこと、そして中心の通過がニューオーリンズの町よりは僅かに東となり、中心の東側という最も暴風雨の激しい部分が外れたことから「最悪の事態は回避された」という報道がされたのです。実際は、暴風雨が静まってから堤防の決壊が起こり、静かな形ですが「最悪の事態」は現実のものとなりました。

 以前にFEMAが中心となって災害シミュレーションをやったが、それが現実となったという報道もある。アサヒ・コムから。

 ニューオーリンズ市でハリケーン「カトリーナ」が起こした災害の規模について、米連邦政府や州政府など関係当局は少なくとも5年前から想定し、机上演習も2回実施していたことが分かった。貧困層の人々が取り残される事態を含め今回現実になった問題がすでに確認されていたが、予算不足などで抜本的な対策はとられないままだったという。

 2日付ニューヨーク・タイムズ(電子版)や米南部の地元紙タイムズ・ピカユンが報じた。今年1月、連邦緊急事態管理庁(FEMA)幹部がスマトラ沖大地震・津波の被災地を視察したが、その際も、米国が学ぶ教訓としてニューオーリンズ市が最ももろいとの結論に達していたという。

 両紙によると、演習は00年と昨年7月に行われた。昨年の演習は、FEMAの肝いりで連邦、州、地方当局から計250人が参加。大型ハリケーンが同市を襲い、堤防から水があふれ、100万人が避難。市民の半数は屋根の上に取り残されるという想定で、今回の被害を引き写したようなシナリオだった。

 演習の結果、綿密な避難計画や、被災者の大規模な捜索・救出の計画づくりなどの必要性が確認された。さらに、車を持たない貧困層や高齢層など計約10万人は、事前勧告しても避難は難しいと指摘されていた。

 ルイジアナ州知事のブランコは、ひどく感情的になってしまい、決して吐いてはならない一言に後悔しているに違いない。再びJMMから。

 最初は警察当局が取り締まりをしていたのですが、その取り締まりが緩んだのです。他でもありません。ルイジアナ州のキャサリン・バビヌー・ブランコ知事(民主)が、略奪の容認とも取れる発言をしてしまったのです。火曜日の時点で「何もかもを失った人間には同情の余地もあります。それに、今は生存者の救出を最優先にすべきです」というのが発言の内容でした。この発言をきっかけに、略奪への取り締まりが緩み、それどころか31日の水曜日のNBCのTV映像によれば、制服姿の警官がウォールマートから商品を失敬する姿をTVに映されても悪びれない、という大失態に至っています。

 この発言の犯した罪はそれだけではない。人命を最優先するばかり、遺体の収容、身元の確認、家族への連絡が遅れてしまったきらいがある。

 最後の失態はやっぱりあの男だろう。もう長くなるから(すでに長いけど)書かないが、「予想以上に酷い」なんていっちゃってるが米国の大統領ともあろう人が本当に事態を把握していないということがあるわけないじゃん。それともブッシュならありえるか。日本でもそうだが、国のトップが不在だと政府の対応が決定的に遅れるというのはなんとかならんもんか。バカンスというのがブッシュらしいが(まぬけ)、まじめに外遊(変な言葉)とか外国首脳との現地会談というのはいくらでもあるだろう。“24”のデイビット・パーマー大統領なら、リーダシップを発揮して被害を最小限にとどめただろうに。

追記:下記のサイトなどで義捐金の寄付受付を行っています。クレジットカード、または郵便局の国際為替(International Money Order)が便利です。(ちののマスコミ・広告批評さんより)
http://instapundit.com/archives/025235.php
http://www.catholiccharitiesusa.org/news/katrina.cfm

セブン・アンド・アイ・ホールディングス(つまりイトーヨーカ堂とセブンイレブン)でも募金活動を始めたらしい。(参照)

追記(9月4日)
アマゾン・USAはアメリカン・レッド・クロス(1clickでも)の募金活動に協力している。

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コメント

TBありがとうございます。
ブッシュ政府の反応の遅さはこれに始まったことではないので、9.11の時もそうだったので。
またマイケル・ムーアに突っ込まれるでしょう。
イラク派兵とかに40兆円使って、国の災害対策費に40億円とあまりにも桁が違い過ぎて、びっくらこです。
避難場所の人達の怒り、不満を早く解決してもらいたいです。
今だに黒人差別が残ってるからか?わかりませんが。
「アメリカは世界の警察だ!」と威張るくらいなら自国を守る努力をしてほしいです。
他国に茶々入れるのは好きなくせにね。
ピンクフロイドの「おせっかい」でも聴こうかな?
そうかブルース・ブラザース2000のサントラのラスト曲「New Orleans」とか。
早く復興できるように祈りながら。

投稿: 五本木五郎 | 2005.09.03 23:55

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