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2005.06.26

丸井・伊勢丹業務提携に思うこと。(1)

 以前より、道新を中心に伝えられてきた丸井今井経営再建策の大枠が明らかになった。
 他のデパートと決定的に違うことは、地元民に「丸井さん」という呼び名で親しまれてきたことだろう。なんといったって133年の歴史がある百貨店だ。丸井今井本館は本道のコンクリート建築物で一番最古のものだ。これをつぶしてなるものかという人も多いだろう。何かへんな話になってきたが。
 西武百貨店傘下に入った「五番館」亡き後、それこそ唯一の道民資本による百貨店、シンボル的な存在が風前の灯火状態にあることに感慨を禁じ得ない。そこで今の思いを書き留めておきたい。
 

道新の25日づけ記事より。

小樽、苫小牧10月閉店 釧路も来年8月 丸井今井が伊勢丹と業務提携  2005/06/25 08:53

 抜本再建を目指す老舗百貨店の丸井今井(札幌)は二十四日、本州同業大手の伊勢丹(東京)と業務提携を結び、営業支援を受けることで基本合意した。両社は同日夕、札幌と東京でそれぞれ記者会見し、丸井今井の柴田哲治社長は再建案について正式発表、不採算の小樽、苫小牧両店を今年十月、釧路店を来年八月に閉店することを明らかにした。ただ、伊勢丹の武藤信一社長は「資金面の支援は金融機関などに委ねたい」とし、丸井今井が要請した出資について現時点では見送った。

 両社の基本合意によると、丸井今井は十月末をめどに会社分割を行い、札幌本店と旭川、函館両店などの中核事業を新会社に継承。残る四店舗は旧会社に残るが、室蘭店を除いて順次閉店する。室蘭店は営業継続したうえで、五年後の二○一○年一月に存廃を決める。
 室蘭店はコスト削減で黒字化の可能性があるため、存続の余地を残した。閉鎖店舗の従業員は存続店で最大限引き取り、転勤の難しい従業員は再就職をあっせんする。

 柴田社長は記者会見で、新たな再建策が必要になった最大の理由について「(固定資産の簿価と時価の差額を損失計上する)減損会計が(二年後に)適用されると、含み損が顕在化する」と説明。三店の閉鎖を決めた理由については「恒常的な赤字が続き、経営への影響が大きい」とし、自らの経営責任は「諸問題を解決した段階で明らかにしたい」として、会社分割が実施される今秋にも社長を退任する意向を示唆した。


 
 この問題は、単純に百貨店のビジネスモデルと都市において百貨店のもつ役割の2つの側面から私の考えを述べてみたい。

 道新の紙面には札幌、小樽、函館、旭川、苫小牧、室蘭、釧路の七店舗の売場面積、従業員、年間売上(いずれも2005年1月末現在)が出ている。
そこで簡単に売り場効率と従業員効率をみてみると、
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 売場効率は、札幌を100とすると、小樽34、函館66、旭川33、苫小牧31、室蘭44、釧路39である。ここでも小樽店、苫小牧店の閉鎖する理由の一端がかいま見える。
 販売員(正確には社員)効率は、札幌店と比較しても、函館店の健闘が光る。他は旭川店が若干ぬきんでているほかは、苫小牧、室蘭、釧路はほぼ同じ、小樽店が低すぎ。

 もっとも店舗設立年次・有利子負債・固定資産の減損とか内部要因の他、GMSとの競合といった外部要因も閉店の理由になるだろう。
 特に後者では、苫小牧、釧路は郊外にイオンなどを中心としたパワーセンターも出店するなど、中心市街地は衰退に歯止めがかかる状態にない。旭川店も安閑としていられない。永山など買い物の中心はとっくに郊外に移っている。

 丸井今井グループ全体としては再建計画の基本として、札幌店の足を引っ張る、営業赤字を出し続ける店舗を切り離したいというのだが、札幌・函館・旭川店の一番の課題は店舗のリニューアルを断行し、たとえばシャネル・グッチといったキーテナントの撤退を食い止めたい、いま売れ筋のテナントを入れたいというのが本音と予想する。

 ここに売れ筋・死に筋を読む能力が秀でていて、問屋・メーカーとの関係もイーブンで、販売管理の情報システムをもつ伊勢丹との業務提携の理由があるのだろう。

 少なくとも道内百貨店は、もうすでに何年も前から、食料品など一部を除き、自前で買い付けるほどのノウハウも情報も失っていて、テナント管理(委託販売)と催事で独自路線を出さざるを得ない状態と予想される。つまり百貨店が主体的に売り場をつくることができない状態だ。
 しかも委託販売では、メーカー・問屋などが売れ残りのリスクを抱えているので、百貨店の粗利率は低くせざるを得ない。

 もう2,3年になるだろうか。デパ地下がブームになっているが、その実態は有名な料理店・総菜店・菓子店への場所貸しに過ぎないのではないかと思う。
 もっともテバ地下は最も集客力がありテナント側にも相応のメリットはあるけれど、百貨店にしてみれば、主体性をもった最後の売り場まで失うことになった。消費者にとってパルコなど専門テナント店との違いは、食料品が買えるだけ、それ以外は大して変わらない。

 国内の百貨店もアメリカが先行したように最終的には3,4のグループに再編されるだろうという予測がある。高度な情報システム、巨大な購買力を使って有利な商品調達、オーバーストアの不毛な競争の排除、がその理由である。

 伊勢丹傘下であろうと、丸井今井には北海道民のハイエンド消費の受け皿として頑張って欲しいというのが私の本音である。

以下、(2)へ続く。

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丸井今井、3店閉店へ 自主再建、時間切れ  丸井今井は24日、経営再建策の一環として、小樽、苫小牧の両店を今年10月に閉店すると発表した。釧路店も来年8月の閉店を予定し、室蘭店は10年1月をめどに存廃を決めるという。大手百貨店の伊勢丹(東京)の支援とともに、大幅な店数の削減で生き残りを図ることになった。  伊勢丹は24日、臨時取締役会を開き、丸井今井を支援することを決めた。武藤信一・伊勢丹社長が同日、東京で記者会見して発表した。丸井今井から求められていた出資には応じず、営業支援にとどめ... [続きを読む]

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