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2005.04.26

ポスト「団塊の世代大量退職」(2)=改題「JR福地線の事故」について感じたこと

 JR西日本福知山線の列車事故による死者70数名・負傷者400名超の大惨事においては、亡くなられた方・ご遺族に謹んでご冥福を申し上げます。平日の朝いつもの日常の始まりに起きたJRという安全な乗り物をおそった信じられない事故。なんともやりきれない。いや、ご遺族・負傷者を出したご家族の方には及ぶべきもありません。だが一言だけ言っておきたい。

 僕がJR西日本福知山線の事故を聞いたとき、真っ先に思ったのはなぜに「23歳」「運転手経験10カ月1年」足らずの男を使っているのかという驚きだった。しかも車掌時代オーバーランを見逃したりして、注意を受けた男だ。男と言っても死者(たぶん)にむち打つだとか犯人だとか人災だとか結論づける気持ちはさらさらない。列車事故の原因究明はもともと複合要因が重なっており、究明は国土交通省と警察の仕事だ。

 驚きだったのはもう一つ。100数十kmで走る車体にステンレスを使い、法的にも車両の強度というか剛性に数値的な規制はなかったという。それも車体を軽くして運行経費を低減させようとの魂胆だ。
 まえにTVで見た大型バスの危険性を指摘する番組でもほとんどシャーシレベルでは剛性を保っているがボディは張り子のトラみたいなもんだった。それと同じだ。

 運輸関係は詳しくないがまず経験の浅い運転手のもとでは素人でも不安なのは航空機を考えれば分かる。もとより航空機のパイロットには十分なフライト経験がなければいけないのは周知の事実だ。
 大量輸送機関というなら列車だって同じだ。9:00台なら乗客は満員、運行間隔5分ヘッドは下らないだろうから、一歩間違えば大惨事になることは素人にだってわかる。

 以前、柳田邦男「この国の失敗の本質」で先の対戦時、日米の戦闘機の設計思想の決定的な相違について、エントリというか感想文にもならないシロモノを書いた。柳田邦男はこの件についてもどこかで書いてくれるに違いない。

 さきに言う訳じゃないけど、JRに問いたいのは乗客の安全に対する思想だ。民営化になってから基本的には顧客に対するサービスが良くなっており(国鉄時代が非道すぎたというのもあるが)僕も民営化というのはいいもんだなぁと思っていた。おっとどっこい僕は民営化の良い面ばかりを見ていた面は否めない。なぜなら効率と乗客の安全性を天秤にかけて失敗する事例をよく見るからだ。

 小さな事故が相次ぐJALでも正確なフライト新幹線との競争条件であり、定時運行が経営的には絶対条件だ。ここ数年はものすごいいきおいで係員がトランシーバー抱えてあちこち走り回る。そんなときしばしば安全性・確実性を見過ごしていないだろうか。

 新聞の社説みたいな文言で申し訳ないが、民営化というのは効率ばかりじゃない。ムダな規制緩和による安全性も「売り」になるのだ。積極的に安全性を謳えば小泉改革で日々不安な日々を送っている大衆には「受ける」という視点はないだろうか。

 やや軽くなったので振り子を戻すと、JR西日本は株をさげ、信頼回復には相当長い期間かかるだろう。個人補償の金銭面だけではない。それは効率化によってえた果実とは比べものになんない。

 裏をとってない勝手な想像だが、JR北海道と同じく60代、50代が一番多くてそれなりに経験を積んだ30代は少ないがゆえに、みんな出払っていて多忙を極めており、やむを得ず23歳に運転させたのではないか。それを解決する道はそう多くないけれども、経験多くほとんど職人の域に達している60代、50代が自分の息子を教え諭すように20代を教えるのも一つの道かも知れない。

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追記:エントリーを書いた後参考になったblog
明日をひらく
Mr.Underhillの欺かざるの記
追記:asahi.com

運転士、無線に応答せず加速 尼崎・列車脱線事故

2005年04月27日00時05分

 兵庫県尼崎市で起きたJR宝塚線の事故で、脱線した快速電車の走行状況が、26日までにほぼ明らかになった。高見隆二郎運転士(23)は事故直前の伊丹駅で停止位置を40メートルも通り過ぎ、時速70キロ制限の事故現場のカーブにさしかかる直前まで、100キロを超す速度で走行していた。JR西日本の運行管理のあり方が問われる一方で、同社は、事故前に1秒単位で電車の遅延状況をつかむ調査を行っていた。ダイヤ優先の姿勢が、運転士歴約11カ月の若手を焦らせた可能性もある。

 26日夜に現場近くの路上で開かれた国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の会見。「伊丹駅でオーバーランがあったが、運転士に影響はあったのか」という質問に、事故調査委員が答えた。

「あったと思う。23歳と若い運転士だったからだ。自分の経験でいっても40メートルは大きい」

 事故当日の25日、高見運転士は午前6時48分から乗務を開始した。学研都市線や東西線などで回送電車2本と普通電車、区間快速の計4本を運転した後、事故を起こした快速電車の運転席に座った。宝塚駅を出発したのは9時3分ごろだった。

 9時14分ごろ、伊丹駅で約40メートルオーバーランし、電車を後退させて定位置へ戻した。JR西日本によると、高見運転士はこのミスについて、「少し短くなるように」と松下正俊車掌(42)に頼んだ。同17分、松下車掌は指令所に「約8メートル行き過ぎた」と無線でうその報告をした。

 このトラブルで、伊丹駅の出発に約1分30秒の遅れが生じた。

 指令所はこの後、オーバーランの状況を確認しようと高見運転士を無線で2度呼び出した。しかし、応答はなかった。

 快速電車が1分遅れで塚口駅を通過し、松下車掌が遅れを車内放送で乗客にわびていたころだ。乗客の多くは「異常にスピードを上げていた」と証言する。

 JR西日本によると、雑音が大きくて聞き取れなかったり、運転に集中していたりして、運転士が無線に出ないことは珍しくないという。高見運転士が出なかった理由について、同社は「分からない」としている。

 電車の時速は100キロを超えた。事故現場となった制限速度70キロの右カーブにさしかかる直前にはブレーキ痕が残っていた。だが、電車は同18分ごろ、カーブを曲がりきれずに脱線、線路脇のマンションに猛烈な勢いで激突した。

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コメント

■今、なぜか(笑)、
ブログではなく・て、
前世紀の遺物のほーむ・ぺーじぃいってヤツの、
『共犯新聞』ゲストブックが、「怪しい」。

http://otd1.jbbs.livedoor.jp/346551/bbs_plain

投稿: 久保AB-ST元宏 | 2005.05.11 01:38

久保さん、こんにちは。
> もう、読んだと思いますが。
寝坊して読んでないんですよ。家に帰ってからの楽しみ(?)。

> 「危機意識」が商業アピールとなる(=有機野菜が売れるかのような)環境の
> 構築が早道なのかもしれませんね。

 ちまたで、コンプライアンス、コンプライアンスと騒いでるけど「法令遵守」と訳していたのでは、ピントはずれです。
 法令遵守だけではいい意味の商売にならないですから。正しくは企業として社会的要請にどう答えていくかのノウハウ体系です。
 これには単なる不平の類から苦情、謝罪、損害賠償に対応することまで含み、いわゆる企業防衛的な考え方を含みます。
 その意味で、今回JR西日本は、コンプライアンス欠如といわれても過言ではないと思います。
 ”不適切な行動”で幹部職員が連日の平謝りでは、社員のモチベーションも下がるっていうものです。大きい会社はマスコミ対策もコンプライアンスに含まれるかも知れません。
 それと今回に限らず、気になることがあります。国土交通省の責任は本当にないのかということです。
 この点、民営会社といえども路線設定・改良、ダイヤ改正には国の許認可なり指導なり、あるはずですから、この点マスコミの追求は足りないと思います。

投稿: akiller | 2005.05.09 15:15

>事故の遠因・近因を探るというのは一旦はヤメにしようと思ってます。

■今朝の北海道新聞に柳田邦男さんが「必然だった尼崎脱線事故」の文章を寄せていましたよね。
もう、読んだと思いますが。

結語の「営業優先下の危機意識の構造的たるみ」について私が思うのは、
「危機意識」が商売に結びつくような業界の構造にしていく必要がある・ということです。

電車が遅れても文句を言われ、事故れば過密ダイヤのせいにされる。

商業的敗北を乗り超えることを課題にされて創業開始されたJRには、ある意味、むごい「二者選択」なのかもしれません。
この問題を柳田氏が言うように、「今日本の一流企業に蔓延している病理」であると普遍化するのであれば、「二者選択」の合一、つまり、「危機意識」が商業アピールとなる(=有機野菜が売れるかのような)環境の構築が早道なのかもしれませんね。

投稿: 久保AB-ST元宏 | 2005.05.09 14:05

> 今私は東京の西のはずれから都心に向かって通勤している。最初の数ヶ月は
> ラッシュアワーに耐えたが、都内でも1,2を争うその激しさに人間性崩壊の危機
> を感じラッシュアワーをさけるため始業時刻の1時間以上前に出社している。体
> 調と天気がよければ、その1時間をウォーキングにあてている

僕も新入社員研修のとき、小田急線で相模大野から新宿まで行って地獄のような満員電車を2週間体験したけど二日酔いのとき耐えられなくて途中の駅でおりちゃった。
ホント東京の人はエライというかよく何十年も耐えているよね。HTAさんは健康的。斉藤孝さんみたいに何でも「健康法」にするのがよろし。

> 私とて運転手への同情心はもちろんあるが、問題はもっと根深く大きい。
 最終的に運転手へ責任を押しつける傾向はJR西日本にもありそれを間に受けたマスコミにもネットでも初期の頃ありましたよね。それが今ではJR西日本の企業体質そのものだったことが徐々に明らかになっています。
 blog界でも亡くなった運転手とその両親に社会的な責任はないとする声が一部から出始めています。僕はその意見に賛成です。
 但し事故の遠因・近因を探るというのは一旦はヤメにしようと思ってます。なぜなら遺族の方とJR西日本の関係(誠意と賠償)が第一だとおもうからです。そして国交省の事故調査委員会の結論がまだでていないこともその理由です。
 そこから僕が学べることが出てきたらまた書くかも知れません。

投稿: akiller | 2005.05.06 11:43

恐れていた事故が起きてしまった。10年ほど前から色々な職場でのミスが増え始め、
こと医療、交通、建築などの人命に直結する職業への不安感はとても大きい。

JR東日本においても、なんらかの要因で遅延したダイヤの乱れを調整すべく、
通常よりも加速して走行するケースを幾度となく体験している。

20年ほど前の話で恐縮だが、英国に滞在していた時、通っていた英会話スクールの日本
贔屓の先生が、日本名物の一つとして「ラッシュアワー」を取り上げて笑い話にしていた。
当時の私の少ない予備知識では、外国のダイヤは日本ほど正確ではなく、乱れているのが
当たり前という話だったが、実際には混雑時でも乗客はゆっくりと乗車し、ちょっとでも
他人と体が触れると、その度「Sory」を繰り返していた。このため混雑時の電車のダイヤは
あってないようなものだった。

今私は東京の西のはずれから都心に向かって通勤している。最初の数ヶ月はラッシュアワー
に耐えたが、都内でも1,2を争うその激しさに人間性崩壊の危機を感じラッシュアワーを
さけるため始業時刻の1時間以上前に出社している。体調と天気がよければ、その1時間を
ウォーキングにあてている。

実はこれには余分な交通費が発生している。全席指定の特急便を使用しているためだが、
交通費はすべて自分持ちなので同僚にも「贅沢だ」と指摘される。しかし、心のゆとりを
最低限保つためにも必要な経費なのだ。それがかなわなければ、たとえ時給が下がろうが
職場を変えてもいいと思っている。

PS
 職場の20代半ばの男性が、今回の事故についていかにも同世代らしい意見を持ってい
 た。私とて運転手への同情心はもちろんあるが、問題はもっと根深く大きい。しかし
 これが私の日常。目をそむける事は出来ても死ぬ勇気もなければ逃げ出すお金もない。
 いつの時代もなんらかの問題を抱えつつ時間は過ぎてゆく。目の前の問題を一人一人が
 片付けていくことも重要だ。どうすれば、自分のこと以外に真剣に向き合えるように
 なれるのだろう。私は生まれつきなのか、親の教育の賜物か、そうすることに努力を
 必要としない。世代を問わず、それが全く出来ない人は少しでいいから努力してほしい
と心から願う。

投稿: HTA | 2005.04.28 13:13

こんばんは コメント有り難う 
とにかく最近の航空機の事故も時間に追われて安全性が無視されているように思えますし、
今回も安全性から言うと、運転士の教育もしかり、とにかく企業優先で先行している気がします。
どこかが狂ってきているような気がします。

投稿: csh | 2005.04.27 00:22

トラバ、ありがとうございます!

新聞を読んでいると、あまりにも悲しい記事が多いので、思わず投稿しました。
このような惨事が二度と起こらない事を願うばかりです。

余談ですが、我が町には駅も線路もありません(^^ゞ

それでは、失礼致します。

投稿: なかや | 2005.04.26 23:21

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