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2005.03.08

■市場の倫理・統治の倫理/ジェイコブス

 コクドの堤会長の逮捕劇、それに連なる「お前らわかってて報道しなかったのだろう」ともいいたい連日のマスゴミ報道を見聞きする上で、ふと思い出して、本棚にあった本をある本を読み返してみた。
 下にあるのは、amazonのレビューに加筆したものである。

なぜ、腐敗は起きるのか。なぜ社会主義は失敗したのか。じゃ、僕らはどうしたらいいのか。
この本は、続く「経済の本質」とセットになってなるがごとく、プラトンにならって複数の人の対話形式をとっているんだ。この本を貫くのは、市場を健全に保つための原則は統治の原則と相容れない、という点が出発点になっている。
市場の倫理でジェイコブスが登場人物にいわせたことは、こうだ。

・暴力をしめだせ
・自発的に合意せよ
・正直たれ
・他人や外国人とも気やすく協力せよ
・競争せよ
・契約尊重
・創意工夫の発揮
・新奇・発明を取り入れよ
・効率を高めよ
・快適と便利さの向上
・目的のために異説を唱えよ
・生産的目的に投資せよ
・勤勉なれ
・節倹たれ
・楽観せよ

対する統治の倫理は、
・取引を避けよ
・勇敢であれ
・規律遵守
・伝統堅持
・位階尊重
・忠実たれ
・復讐せよ
・目的のためには欺け
・余暇を豊かに使え
・見栄を張れ
・気前よく施せ
・排他的であれ
・剛毅たれ
・運命甘受
・名誉を尊べ

その点について承認していく登場人物の討論と、それによって想起される根本のあらゆる病巣もしくは希望。この本を日本人として読む面白さはまずそこに尽きる。
 一つの組織が双方を混同したり、同時に手をつけようとすると、腐敗が始まる。そういう事例は枚挙にいとまがないではないか。
 フジテレビ・ライブドアの市場をベースにした活動に、決着がつく前に経済産業省がやいのやいの言ったり、普段公共の電波を謳うテレビ(フジテレビを除く)が、連日報道合戦を繰り広げたり、ジェイコブスに言わせれば、はなはだ問題が多い。ライブドアが出した新株がらみの仮処分は、申請先が裁判所だが、ここは一つ「統治の倫理」でよろしくおねがいしたい。
 コクドの一件にしてもJOC会長やらわが国のスポーツのドンだって堤氏を担いでたのは、誰だっけ?と外野として、思わないでもないが、そんなことより、実はコクドの内情はまさに「統治の倫理」がひかれてたと思うのは私だけだろうか。北もそうだけど、独裁者は、ときに暴走する。そんなとき「新奇・発明を取り入れよ」だ。
とはいえ、最近、会社は誰のモノかってことが、明確になりそうな予感。会社は大きくなればなるほど、実のところ公共(益)性を帯びてくる。そんなときに「市場の倫理」「統治の倫理」かはたまた、もしあればだが、「別の倫理」をとればいいか、本質論だと思う。
 ジェイコブスの要は、小さな政府志向ってことで、これってゆるやかな右派じゃないか。共同体はどっちの倫理かな。「統治の倫理」だとおもうけどね。
 話は敷衍していくと、郵政民営化支持派になっちゃうけど、地方の共同体がバラバラである現在、支持できないのは、まあ、わかる。しかし、「市場の倫理」が解決してくれるさと思うのは、「楽観せよ」的すぎるかな?
 それで、「市場の倫理」に従うと、このBlogなんかいらないっつうことがオチ。
 お後がよろしいようで。

 甚だ雑駁に過ぎますが、最後まで、ご静聴ありがとうございました。

参考blog:
株式会社ネットスパイス
R30::マーケティング社会時評

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jacobs_market市場の倫理・統治の倫理ジェーン・ジェイコブス著・香西 泰訳
日経ビジネス文庫 ¥900

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コメント

けんたさん、思うところが噴出していますね(笑)。
僕は病気になって、ま、一年棒に振ったから、めったなことで驚かなくなったけど、コンサルタントは因果な商売だなーってつくづくおもいます。いつ一人前になったかわからない商売ってことと、一人前と思えばまた次のテーマに悩むという。
ま、そんなとき「コンサルタントの道具箱/ワインバーグ」を読んで見たりします。

投稿: akiller | 2005.03.16 21:24

>統治の倫理は市場の倫理と混ざったら、腐敗するけど共生することは必要だ

ごもっともです!!
「いかに、腐敗させずに共生させるか・・・」
このことでは、けっこう、
クライアントや異業種研修で知り合った人と
よく議論をしたりしています。
(その詳細内容は、
いずれお話できる機会があれば
お話ししたいと思います)

私の考える「上」の立場の人の理想型としては、
あくまで「下で働く倫理」を
バーチャル体験するかのごとく
実感したようにわかりながら
「上に立つ倫理」とは何かを追求していくのが
よろしいかと思っています。
そうすると、全体構造を俯瞰して
現場レベルまで把握しつつ、
業務を上の立場で従事することが出来る
ような気もします。
例えてみれば、
「ゆで卵」のようなものかなと思います。

ゆで卵は、「黄身と白身」で構成されています。
白身で黄身を内包しているのがゆで卵ですが、

黄身=下の倫理
白身=上の倫理

という感じであると、いいのかなと
いう気もします。

つまり、下の倫理を内包しつつ、
上の倫理が存在し、業務遂行が出来るか
というのがポイントになるような気もします。

ですが、往々にして、そんなこと出来てません。
いつの間にか、黄身がなくなり、
白身だけになり、
前回コメントしたような
「B案がいい!!」という発言(発想)に
つながってしまう気もします。

ただそれとは別に、
「上」独自の倫理観・価値観が
必要なこと・場面もあるかと思います。

例えば、「会社の経営」について
考えてみると・・・
下・・・営業成績を伸ばし売り上げを伸ばす
上・・・資金繰りをどうするか
といったように、それぞれ別のことを
思考することがあるわけです。
(これが現在の弊社の姿だったりします・・)

一見、別次元の話なのですが、
お互い、「会社を良くしよう」
と思うあたりは同じなのです。
ただ、お互いの立場により、
見える角度・するべきことが
異なるのだと思います。

なので、一案としては、
「プレイング・マネージャー」
というように、下と上を
同時に1人の人間がこなせば
万事解決のような気もしますが、
それが成り立つ職場は、
限定されてしまう気がします。

しかし、我が取引先では、最近になって
こうした「プレイング・マネージャー」
とはいかないまでも、
かなり、「上」が「下」に権限を委譲することで
上の往々にして生活者離れした感覚を排除し、
生活者に購入していただける大ヒット商品を
現場レベルで生み出せるように、
スムースに商品開発が行えるような
システムにしようとしている会社も
出始めています。

しかし、そんな会社は少数なのも、事実です。

なので、我がクライアントの大半と仕事をすると
常々「上」と「下」問題で
クライアントの担当者は悩まされ
そんなクライアントに
なるべく適切なアドバイスを送り
生計を立てているのが何を隠そう、
私の仕事だったりするわけです。(笑)

・・かなり、当初のお話と
ずれまくっているような気もしますが
色々な角度から検証しても
結局は、この「上」と「下」の二層構造
なのかもしれませんね。

投稿: けんた | 2005.03.12 02:07

けんたさん。いつもお世話になっています。
統治の倫理は市場の倫理と混ざったら、腐敗するけど共生することは必要だ、とジェイコブス女史は言っておられます。
けんたさんは、逆に上に立つ倫理と下で働く倫理についてどうおもわれますか。自分も経営者のはしくれ、非常に気になります。
縦軸と横軸のような関係はないでしょうかね。

しかし、けんたさんの例みると、上の人が何を気にかけていたかがきになりますねぇ。

投稿: akiller | 2005.03.10 02:00

この話は、実に奥が深いですね。
この話とは、角度・視点が違うかもしれませんが、
私も商品開発の調査の仕事をしていて、
常々直面している問題でもあります。

【典型的な例】
ある新商品のパッケージを
想定されるターゲットとおぼしき
人たちに見せたところ、
圧倒的にA案がよかったという調査結果になった。

商品開発担当者も、
そのA案には思い入れがあったので、
よかったと思った。
(ここまでが「市場の倫理」?)

しかし、実際に社内の会議にかけたところ
トップの方から、
調査で不評だったB案の方が好きなので、
B案を採用せよとのお達しが・・・。
(ここが統治の倫理?)

で、結局、B案のパッケージで販売したが
さっぱり売れなかった。

そこで仕方なくトップが
A案のパッケージで少量販売する許可を
渋々出したところ、
大ヒット商品となった。

そして、マスコミから取材を受けたトップが
「私がパッケージの変更を指示したから
ヒットした!!」
と、自分の功績にする・・・。

・・・こんなことが多かれ少なかれ
規模・程度は色々ありますが、
しょっちゅう繰り広げられています。

日々、そんな現場に立ち会う者として
少しでも、みんながほしいものが
素直に商品化される努力をしていくことが
今の仕事に携わっているものとしての
使命だと、勝手に思っています。

そして、たまに、「統治」を乗り越え、
提案が採用されたりすると
ニヤリとしています。(笑)

(あまり、適したコメントでなくてすみません!!)

投稿: けんた | 2005.03.09 01:11

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