« 本道を観光で訪れる外国人について | トップページ | 肥満を防ぐコメ? »

2005.02.27

農業基本計画・また玉虫色の決着か?

「集落営農」、「食料自給率」、「農家への直接補償」の最終案がでた。

 食料・農業・農村基本計画の最終案がでた。北海道の行方、大規模農家へ対する直接支払い制度が、気になるところだが、農水省は厳密な定義は「先送り」した格好だ。

「集落営農」2万—4万に、農水省が農業再編構想 

農水省は22日、2015年度を目標とする国内農業の再編構想を明らかにした。

 2015年度の農家数を約250万戸と見込んだ上で、小規模農家は30戸前後ずつにまとめ、共同で耕作する「集落営農」組織に再編し、2万—4万の集落営農組織をつくる。株式会社や農事組合法人などは現在の倍の1万法人に増やす。大規模農家は33万—37万戸を想定し、集落営農、法人、大規模農家の3つの「中核的な担い手」で、農地の7—8割を経営する。

 農水省は3月に閣議決定する新たな農業基本計画に担い手育成のための施策を盛り込み、来年度から3つの形態に再編を本格化させる。

 農水省はこれまで、2010年度に計約40万の大規模農家と法人を想定していた。しかし、こうした担い手への農地集積率は目標の6割に対して、2004年度の水田で4割以下にとどまり、構造改革は遅れていた。新計画では、小規模農家も参加する集落営農を新たに担い手に位置づけ、組織ごとの数値目標も掲げる。

 ただ、農業の急速な「集団化」は、現場の混乱を招くおそれもあり、農業関係者などからは「農水省の目標はかなりハードルが高い」と達成を疑問視する見方もある。

 (2005/2/23/03:04 読売新聞)

 集落営農は小作農を生むとかたくなに拒んできた農水省(農業団体)が、ここまで追いつめられている。議論の過程では、農水省は、補助金の対象を「他産業の平均の年収530万円を得られる経営体」としていたが、道内以外の農水族議員や農業団体の反発で事実上廃案となった。

農業計画原案:強気な姿勢貫けるかが改革のカギ 農水省

新たな「食料・農業・農村基本計画」の原案では、兼業農家を中心とする現在のぜい弱な農業構造を、経営意欲の高い「担い手(プロ農家)」中心の構造へ転換させることを農政改革の大きな柱に位置付けた。ところが、肝心の「担い手」の定義についての具体的な議論は来年度に先送りされた。国の支援が集中する「担い手」の定義が甘くなれば、「ばらまき」批判が根強い従来の農政と変わらなくなってしまう恐れもある。

(中略)

一見、具体的な数字に見えるが、あくまで目標だ。実際、計画の原案の中では「担い手」を「効率的、安定的な農業経営及び、これを目指して経営改善に取り組む農業経営」との表現で定義するにとどまっている。

(中略)

担い手が支払い対象となる品目横断的政策は07年度からの導入となるため、同省は「定義は今秋までに決めればよい」とのスタンスだ。農政改革の成否のカギは、今後の議論で、同省がどれだけ強気な姿勢を貫けるかにかかっている。

(毎日新聞 2005年2月24日 21時22分)

 「どうしてもっと地図を見ないの?」でも記事にしたが、道内以外の農水族議員や農業団体はあきらかである。米どころすなわち、水田地帯で著しく農業の生産性が低レベルにある所だ。野菜・果樹は全国どこでもある程度競争にさらされており、生鮮野菜ならなおのこと保護されていないのである。

農業補助金、大規模農家に重点配分 基本計画最終案 大豆や牛乳増産

 農水省は二十四日、新たな農政の指針となる食料・農業・農村基本計画の最終案をまとめ、食料・農業・農村政策審議会(農水相の諮問機関)の企画部会に示した。農業補助金は二○○七年度から、道内などの生産性の高い大規模農家などに重点的に配分する。一五年度の食料自給率目標はカロリー(熱量)ベースで現在より5ポイント高い45%に、生産額ベースで6ポイント高い76%に設定した。

 最終案では、農業補助金について、農作物ごとに価格下落を補てんする現行方式から、経営規模など一定の条件を満たす農家の所得を補償する形に転換。ただ、対象農家の要件は「効率的かつ安定的な農業経営を目指す農家」と抽象的な表現にとどまり、今秋の政府・与党協議で再調整することにした。

 一五年度までの品目別の生産目標と、自給率目標(いずれも重量ベース)も示した。

 北海道の基幹作物ではバレイショの生産努力目標を○三年度実績より十万トン多い三百三万トンとしたほか、麦類、大豆も一層のコスト削減を前提に増産を掲げた。脱脂粉乳の過剰在庫が問題化している牛乳・乳製品も、チーズや生クリームなどの需要拡大を見込んで○三年度比八十八万トン増の九百二十八万トン。

 一方、国内需要が低迷するビートは、五十万トン引き下げ三百六十六万トンとした。

 また、環境保全型農業への転換を促すため、減農薬など一定の規範を満たすモデル的な取り組みを○七年度から支援する。

 農水省はこれらの施策を計画的に進める「工程表」をつくり、三月三日に予定している次回の同部会に示す考えだ。

(略) (2005/02/25 09:26 北海道新聞)

 

 これは、北海道新聞の朝刊一面に出てた記事であるが、別記事で解説があるので、それを転載したい。
 「せめて、農業で生計を立てる担い手農家の定義を明確にしてほしかった。十勝の畑作農家は、担い手農家の規模拡大と同時に、多くの離農という犠牲も払ってきたのだから」。十勝管内のある農協幹部は不満を隠せない。

 (中略)

 とりわけ、十勝管内の畑作農家は過去40年間で、一戸当たりの耕地面積を3.8倍の35.5ヘクタールに拡大。今では酪農やビート糖など、EUに匹敵する高い生産性を高い生産性を図る作物もある。その一方で農家戸数の7割が離農するなど、代償も大きかった。

しかも、規模拡大と生産性向上を果たした主業農家でさえも、多額の借金を背負い、離農も再び増えているという厳しい現実もある。新計画は本来、こうした主業農家に補助金の対象を絞り、日本農業の担い手に育成するのが、最大の狙いだったはずだ。

 農家が規模拡大にいそしみ、生産性を向上しなくてはならないとしたら、過疎ではなく、適疎だ。悲しいかな、これが現実かも知れない。
 しかも、もはや、道内農家の敵は、同じ国内の中小農家になってしまったわけだ。中小農家の声を代弁しているかに見える農水族議員は、全農、住専、畜産事業団なんかのおびただしい農業関係団体、農業土木で地元誘導で、甘い汁を吸ってきた。これが多少なりとも対象農家への個人補償になると、権益が減るんだろうか。

 それにもまして気になるところがある。牛乳や大豆を増産するという。牛乳に至っては、生乳の消費は右下がり、脱脂粉乳もだぶついているという。
 牛乳を増産するっていうことは、生クリームやバター・チーズを増産するということとイコールだ。実は乳製品は今のところ順調に生産が伸びている。善し悪しはともかく、大手乳業メーカーがつくるプロセスチーズならいいが、地元中小農家が作るチーズはまだ値段がこなれていない。手作りだからだろう。
 加工食品にも生産性向上が必要だ。さもないと食糧自給率は絵に描いた餅になってしまう。

 果たしてそもそもの食糧自給率(北海道は180%、ちなみに東京は1%)は、本当に向上させる気があるのだろうか。JAが平気で輸入農畜産品を売り、産地偽造をするくらいでは、当然無理だろう。食料安全保障の観点からというが、エネルギーでさえ自給できてない国が食糧自給率をたとえ5%でも、上げると言うことはどういうことなのか。
 石油がなければ、すでに100%近く機械化された今の農業は立ちゆかなくなる。いや石油が高騰しただけで少なくともたとえば首都圏は飢えるだろう。イデオロギーやナショナリズムで食料を語るのはもう前時代の遺物となっているのだ。
 たとえば、米。為替や品質の違いがあるので単純に比較できないにしろ、たとえば、2000年の消費者価格ベースで比べると、日本を1とすると、アメリカは0.32、タイは0.12倍である。タイと比べるはまだしも、アメリカと比べても3倍以上なのである。このうちすくなくとも、非効率な取引に起因する部分は、もっとカットすべきじゃないかと感じるのである。いずれグローバル化の流れの中で、米ばかりが聖域じゃなくなる日も近くないような気がする。そのとき、中小農家が反対しても、もう遅い。

参考サイト:お米データベース

banner_04


 

|

« 本道を観光で訪れる外国人について | トップページ | 肥満を防ぐコメ? »

コメント

TBありがとうございます。
稲作に関しては,道内の稲作農家が
しんどい思いをしているという教訓があるにも
関わらず,米政策改革の名の下に,全国的に大規模化を推し進めようとしています。

そこで展開されている論理は,まさに
「選択と集中」です。
とはいえ,地域の事情もありますので
担い手の「選別」につながる行為は
地域内に禍根を残すだけなんでしょうけれど。

投稿: かんじちょ。 | 2005.02.27 19:09

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/19542/3097910

この記事へのトラックバック一覧です: 農業基本計画・また玉虫色の決着か?:

» 肥満を防ぐ米 [Reclaim the Earth !]
今朝の北海道新聞の遺伝子組み換え関連記事2本に、思いっきり引っかかりました。さぞ [続きを読む]

受信: 2005.02.27 22:28

« 本道を観光で訪れる外国人について | トップページ | 肥満を防ぐコメ? »