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2004.06.26

憲法改正雑感

 参院選で自民党が56議席以上とると、小泉政権は向こう3年間国民の信を問われることはないというので、それだけの長期政権がある程度確実になるとすれば、じっくり憲法改正について議論できるというのである。
 耳にたこができるほどあーでもないこーでもないと言われてるのは憲法9条だが、この文面を読むと自衛隊の存在と活動は明らかに矛盾しているのだけれど、戦後ずーっとみんなでその矛盾を受け入れ、かつ利用してきた。


 原子力発電所もそうだけれど、地方で自衛隊基地を持っていると、国は設置自治体に特段の配慮をしてくれるし、なにしろ人口である。自衛隊員はよく飲みよく食べる。いろいろ調達もある。必ずしも地元とは限らないし、隊員もあまりつるんでのみ騒ぐこともずいぶん減っているという話は聞いたことはある。雪像もつくってくれるし、各種災害では不可欠である。ときに牙をむく自然災害に対して消防団など機能しないコミュニティは自衛のパワーに感謝しないわけにいられない。

 その意味で自衛隊は地元の経済や生活に密接にかかわっている。生活感覚をベースにすれば、もはや自衛隊が違憲か合憲かという議論は「神学論争」の域に達してしまって議員はたいてい見て見ぬふりをして学者と似非文化人の間でしか話題になっていない。

 問題は集団的自衛権の件である。「国を守るというのはどういうことか、非武装を唱えていれば無傷でいられると思うのか、この平和ぼけが。」と9条フェチの人たちはさんざんに言われて冷戦終結と拉致問題の顕在化によって青息吐息だ。

 そうやって構造改革という名の既得権益剥奪を実現した小泉さんは、PKOにPKFにイラク特措法に非戦闘地域と、どんなハイレベルの憲法学者でも説明するのに200時間くらいかかると思われる拡大解釈の総仕上げとして、多国籍軍参加というおみやげをブッシュさんにプレゼントした。憲法改正の爆弾をしかけたのはビンラディンであり導火線に火をつけたのはブッシュということになった。ベルリンの壁、ロシア誕生、911、アフガン掃討、悪の枢軸、イラク侵攻と急流のごとくほとばしる現実の前に、思考も言論もつまるところ、ただぼけーっと見つめるだけである。

 そんな中で一人の市民として感想を一言述べろといわれれば、今の憲法で結構できることはできるじゃん?ということだけである。まさか改憲論者は、憲法を変えて、今の米軍のように、無法者を無辜の市民と一緒くたに虐殺するような戦いに参加したいと思っているわけがない。(と思いたい。)

 さて一方では、改めてみんなで延々と理念と理想を込めた一文を創ったとて、どうせ、「解釈」でいかようにもできるってんだから、9条ばかりに時間をかけずに、もっと他の、現行憲法が想定していなかった案件、例えばプライバシーとか首相選出のありかたなんかについての議論をしてはどうかと思う。

 6カ国協議の行方はたしかに気になるが、軍備増強したい人たちにとって北朝鮮の核保有は本気で戦争してこない限り格好の材料である。もし、仮にうまく現行の体制がくずれれば、拉致被害者の救出と難民対策が半島外交の主軸になるだろう。それとも、金づるの日本にメタメタにするような攻撃をしてくるとでもいうのだろうか。

 そうすると、集団的自衛権行使の対象は、ほぼ、もう現在急成長中のあの国しかないのである。
 ぼくたちの生活の大きな部分がその急成長の波に飲み込まれ依存しているその中で、半島の米軍はリストラに向かおうというその中で、日米同盟をにっちもさっちもいかないほど強化するような政治は、結局、誰の得になるというのか。
 新たな冷戦は復活するのだろうか、また望む人々がいるのだろうか、ということが、憲法9条の文章表現よりよほど重要なテーマであると思う。

 安保闘争をやってきた大人たちは、年金問題ばかりやってないで、その辺りについて、いままた立ち上がってアジってみて欲しい。

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受信: 2004.06.27 19:03

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