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2004.03.29

■社会的共通資本

 筆者は社会的共通資本という考え方を提示し、それには自然環境系・インフラストラクチャ系・制度系の3つの種類があるという。
 この本はそれぞれの分野について具体的な例をあげてその意味や意義を論じ、また社会・経済学史の中に位置づけ、そして結語としてあり方を論ずるというスタイルでこれまでの筆者の著作・文献をまとめたものである。宇沢ワールドの入門書というところか。
 文は抑揚がおさえられ(ま、経済学の先生だから)平坦ではあるものの、所得再分配において無機的個人を前提し、効率性のみを論じ、公正性について考慮しなかった新古典派経済学者やモダニズムの教祖コルビジェを思想的に批判し、自説や他の優れた思索家(例えばジェイコブス)などの対案を提示する。
 新古典派的な理論・演繹的アプローチによる社会資本整備についての政策体系を批判しつつ、農村について述べた第1章、都市について述べた第3章は、多くのプランナーや政策立案者は、これまでの政策の理論的背景への批判も含めて読んで欲しいし、この部分を自分なりに把握し消化することで少なくとも思想的には十分とも言えると思った。
 現在長野県の総合計画審議会委員をやっている筆者の「コモンズ」による地方政策革命の理論的背景を知る上でもいいテキストである。
「社会的共通資本」宇沢弘文著/岩波新書/¥660
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